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住所氏名(本店商号)変更登記の職権登記制度について。

住所氏名変更登記の義務化に伴い、登記官による職権登記の制度も新たに設けられました。

登記名義人の中には、諸事情があって住所氏名変更登記の申請義務を果たすことが困難な方も一定数存在することが予測されています。そのような状況で、住所氏名変更登記の義務化を法定したのみでは、その義務の実効性を確保する観点からは不十分といえます。

そこで、住所氏名変更登記の手続きの合理化を図り、その実効性を確保するために、登記官による職権登記制度が設けられたのです。

登記官による住所氏名変更の職権登記は、他の公的機関との情報連携を図りながら、以下の手順で手続きが進められることが予定されています。

 

【登記名義人が個人の場合】

登記名義人が個人である場合、個人情報保護の観点から住民基本台帳の閲覧事由を制限している点を踏まえ、本人の了承がある場合に限り、以下の手順で登記官の職権による住所氏名変更登記が実行されます。

 

①登記名義人から検索用情報の事前提供を受ける

まず、住所氏名変更による職権登記を行う前提として、法務局では登記名義人から住所、氏名、生年月日など、住基ネットに照会するための検索用情報の提供を事前に受けておきます。

 

不動産登記法改正により、新たに登記名義人となる個人は、その登記申請時に検索用情報を提供しなければなりません。一方、同法改正前に登記名義人となっている個人の場合には、登記申請時以外の任意の時期に、検索用情報の提供が可能となる予定です。

 

②住所、氏名の変更情報の定期的な照会および取得(職権探知)

登記名義人から提供を受けた検索用情報を使用して、法務局は住基ネットへ定期的に照会を行うことで、登記名義人の住所、氏名の異動情報を取得します。それによって登記名義人の住所、氏名の変更の有無を確認することになります。

 

③登記名義人への意思確認と職権登記

住基ネットへの検索により、住所、氏名の変更が探知できた場合、登記官は職権による住所氏名変更登記を行うことについて登記名義人にその意思を確認します。登記名義人から了承を得られた場合にのみ、登記官は職権による住所氏名変更登記の手続きを行うことになります。これによって登記名義人である個人の住所変更登記の義務は履行済となります。

一方、職権による住所氏名変更登記を行うことについて、何らかの事情で登記名義人の了承を得られない場合には、登記官の職権による変更登記が実行されることはありません。

 

【登記名義人が法人の場合】

登記名義人が法人の場合には、その意思確認を行うことなく、法人の住所氏名に該当する本店商号変更の登記が登記官にの職権によって進められます。

 

商業・法人登記の情報システムにおいては、その法人の本店や商号が登記手続きによって変更となった場合には、法務省の管理するシステム間の連携により、その旨の情報が提供されることになります。

なお、令和3年の不動産登記法改正によって、令和6年4月1日より、所有権の登記名義人が法人である場合には、会社法人等番号も新たに登記事項とされることになりました。